適菜収「安倍晋三の正体」を読む 安倍の国葬について

安倍については本書の指摘以外にも、アベノミクスの弊害や官僚人事の独占による官僚の堕落の招来など批判すべき点は枚挙に暇がない。特に、日銀黒田を使って日銀の中立性を破壊し低金利政策と財政垂れ流しで世界に冠たる国家債務を積み上げた罪は重いと言わ…

「日本の死角」現代ビジネス編 講談社現代新書 2023年刊

現代日本の抱えている諸問題を総花的かつ簡潔に知る本として本書を手にした。しかし、防衛問題はおろか経済問題にも言及した論説がなくその点残念な書。全体に各論とも短くまとめられており、さほど難しい内容でもないので30分ほどもあれば通読できる内容…

「日本の戦争はいかに始まったか」は歯痒い議論が多かった

「日本の戦争はいかに始まったか」波多野澄雄・戸部良一編 2023年刊 新潮選書 の書評 連続講義 日清日露から対米戦までというサブタイトルで8名の歴史学者が日清・日露戦争から始まり太平洋戦争までについての講演録である。 その中で、興味のある点に…

「日本の植民地支配」は「ナチスは良いこともしたのか」と同じ論理の本だった

「日本の植民地支配」水野直樹他著 2011年刊 岩波ブックレット 2011年当時「新しい歴史教科書をつくる会」等による日本の植民地支配を正当化する議論に対し、一部の歴史学者たちが検証と称して反論を展開する書。 2023年に刊行された「ナチスは良いこともし…

「日本の植民地支配」は「ナチスは良いこともしたのか」と同じ論理の本だった

「日本の植民地支配」水野直樹他著 2011年刊 岩波ブックレット 2011年当時「新しい歴史教科書をつくる会」等による日本の植民地支配を正当化する議論にたいし、一部の歴史学者たちが検証と称して反論を展開する書。 2023年に刊行された「ナチスは良いことも…

「経済学者たちの日米開戦」を読む

「経済学者たちの日米開戦」秋丸機関「幻の報告書」の謎を解く 牧野邦昭著 新潮選書 2018年刊 本書で紹介される秋丸機関の「抗戦力調査」は、同時期になされた総合力研究所の報告(猪瀬の「昭和16年の夏」に詳しい)と類似の報告であり、特に目新しいもので…

「検証 ナチスは良いこともしたのか」を読む

「検証 [ナチス]は「良いこと」もしたのか?」 小野田拓也・田野大輔共著 岩波書店 2,023年刊 書評[ 朝日の天声人語での言及についてのコメントに加え、もう少し本書についての感想を詳しく書きたい。 フェイクニュースやヘイトスピーチなど現代の風潮を考え…

今日の天声人語「検証 ナチスは良いこともしたのか」について

遂にというか、やっとというか、本日(12月17日)の朝日新聞「天声人語」に本書が言及された。「ホロコーストは悪だが、ナチスはいいこともしたのではないかーいまの世にくすぶる不穏な問いに真っ向から答えた書」とのことである。いかにも朝日らしいが、ナ…

思考の整理学 外山滋比古著 ちくま文庫 1986年刊 書評

「歴代の東大生・京大生が根強く支持する異例のベスト&ロングセラー。刊行から37年で128刷・270万部突破」という出版社のキャッチコピーで購入した人も多いと思う。 社会人でそれなりに活躍している人にとっては、自ら培ったノウハウと重複する部分が多いと…

中国には大金持ちがこんなにいるんだ!

hurun global rich list というレポートによると、世界の金持ち、即ち資産10億ドル以上の人、いわゆるビリオネアは全部で3,112人。 その内、中国が969人と3割を占めるという。ちなみにアメリカは691人。なんとアメリカよりも多い! トップ100人のうちに26人…

「老害の人」を読む

老害の人 「老害の人」内館牧子著 2022年刊 結論的には後味の悪い本と言わざるを得ない。 以前、著者の「終わった人」という小説を読んだ時と同様の違和感を感じた。同書では、東大卒の銀行マンでありながら会社の保証人になって退職金をフイにしてしまうと…

「昭和16年の夏の敗戦」を読む

昭和16年夏の敗戦 「昭和一六年夏の敗戦」猪瀬直樹著 2010 書評 本書の宣伝文句には「日米開戦前夜、総力戦研究所の若きエリートたちが出した結論は「日本必敗」。それでもなお開戦へと突き進んだのはなぜか。客観的な分析を無視し、無謀な戦争へと突入した…